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【コラム】自律心を養うには~幼児の主体性について~

2022年9月26日 レポート


小1プロブレムと自分をコントロールする力

 

2000年代初頭ごろから、「小1プロブレム」という言葉が社会的によく聞かれるようになりました。
これは「入学したばかりの1年生で、集団行動がとれない、授業中座っていられない、話を聞かないなどの状態が数ヶ月継続する」と言った状況のことを指す言葉です。

この問題は、「児童に自分をコントロールする力が身に付いていない」ことが大きな原因とされています。(※1)
(※1:2010年文部科学省「幼児期の教育と小学校教育の接続について」より)

自分をコントロールする力は、小学校入学後すぐ身に付くものではありません。
就学前から少しずつ、身に付けていく必要があります。

しかし、就学前でその力を身に付けるための経験を、子供たちが十分にできているかというと疑問が残ります。

 

子供の主体性とは

 

現在では幼稚園教育要領にもある「幼児の主体性」に重きを置いている園が増えてきているように感じています。

では、「幼児の主体性」とは一体どういうことなのでしょうか。

多くの場合、「子供たちが自発的・能動的に望んだことを実現しようとする態度」といった意味合いで取られているかと思います。
しかし本来であれば、子供たちがやりたいことをやるだけでは不十分ではないでしょうか。

広辞苑(第七版)では、「主体的」という言葉を「ある活動や思考などをなす時、その主体となって働きかけるさま。他のものによって導かれるのではなく、自己の純粋な立場において行うさま。」と定義しています。

つまり、“やりたいことをやる”ということはもちろん、やりたいことではないけれどやる必要があることを自らの判断によって行うことも「主体的」と言えるでしょう。

しかし、「子供が自分からやりたいと思わないこと、やりたくないことはやらせてはいけない」と極端に捉えているケースがとても多いように感じています。

「幼児の主体性」を本当の意味で育むのであれば、やりたいことだけではなく、やりたいことではないけれどやる必要があることを、子供たちが自らの判断で行えるように促すことが望ましいのではないでしょうか。

この、「やりたいことではないけれどやる必要があることを、子供たちが自らの判断で行う」ことの繰り返しが、自分をコントロールする力へと繋がるのだと思います。

 

お約束を守って遊ぶ

 

サントレでは、楽しく遊ぶための「お約束」があります。
「先生が『さん、ハイ』と言ったら一緒に読んでね」
「この曲が終わるまで、お目目をつぶって座っていてね」
このように、先生から子供たちにあらかじめお約束を伝えます。子供たちはこのお約束によって、今はどういうことをする時間なのかを理解します。

クラスのみんなでDVDを使って物語を楽しみます

お約束を守るという経験を積み重ねることで、徐々に自分をコントロールする力=自律心を養っていきます。

先生はお約束が守れなかったからと言って子供たちを叱ったりすることはありません。その代わり、お約束が守れた子にはたくさん、褒める言葉掛けをしています。

自分をコントロールすることは、子供たちにとってネガティブなことではありません。むしろコントロールすることで生まれる友達との協調や、大人とのスムーズなコミュニケーションによる喜びも大きなものでしょう。

やりたいことを思いっきりやる時間と、少しの我慢や自律の時間とメリハリが、何よりも大事だと思います。

 

雲雲
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風船